【 SEIKO 3M22-0D49 】アークチュラどこか懐かしい巨匠の1本【レビュー】
コロナによる自粛ストレスが原因でしょうか!?
物欲がとまりません。
そんな僕が今回入手したのが以前から店頭で目を付けていたセイコーの※①「アークチュラ」です。
半年ぐらい前から店頭に並んでいたのですが、もちろん売れる気配もなく、ついに値下がりしたので、これは良い機会だと思い購入してしまいました。
これは、1997年に自動巻き発電システム「キネティック」を搭載した「アークチュラ」というシリーズで、多くのバリエーションが登場しました。
以前は中古でもたまに見かける事があったのですが、特に興味もなく欲しいとも思わなかったので完全にスルーしていた腕時計です。あれから時も経ち最近では滅多に見かけなくなっていたので、店頭でこれを見つけた時には今のうちに買っておいた方がいいかな!?などと思いながらも価格で迷っていて、店頭に訪れた際は売れてしまっていないか、値引きになっていないかを必ずチェックしていました。
ついに入手したので調べてみました!
【 SEIKOウオッチカタログ1998年より転載 】
1998年のカタログに、今回入手したのと同じ文字板のモデルは掲載されていませんでしたが、Cal.3M22なのでサイズが小さい方です。レディースもしくは、ボーイズサイズですね。
レディースサイズと言ってもケースサイズが横約36mm(リューズ含む) 縦約45mmあるので、 SEIKO 2625ダイバーと比べてみると大きく感じます。
【 ヨルグ・イゼック 】 デザイン
このアークチュラをデザインしたのは、ロレックス、タグホイヤー、カルティエ、ティファニー、ブレゲなど数多くの腕時計のデザインを手掛けた腕時計デザイナー※①【ヨルグ・イゼック氏】によるものです。
実際、腕時計デザイナーの巨匠イゼック氏のデザインじゃなければ、僕自身買う事はなかったと思います。
セイコーと言えば80年代に工業デザイナーの※②【ジョルジェット・ジウジアーロ氏】がセイコーの「スピードマスター」などをデザインしていたのは有名ですよね。今でもオリジナルには根強いファンがいて人気があるので、復刻などもされています。
【レビュー】
全体的に曲線を基調としたデザイン(金属粉末射出成型技術を駆使して実現)が目を引きます。風防もカーブハードレックスですね。そして、文字板はとてもシンプルなデザインですが、0時~6時までグラデーションのドットが入りアクセントになっています。
以前は奇抜で、近未来的なデザインが好みではなかったのですが、巨匠がデザインした腕時計と言うなら、なんだか良く見えてきますよね?
裏蓋に保護シールが貼ったままなので、未使用品なのでしょうか?全体的に使用感はありませんでした。
ケース自体は表面と裏蓋のみがステンレスといった感じで、ずっしりとした重量感はありません。ケースの下半分はプラスチックケースですのでベルトを含めても42gと軽く、高級感もありませんね。
そして、キネティックなのでリューズの上に充電量を確認するインジケーターボタンがあります。このボタンを押すと秒針が早送りされ発電し蓄えられたエネルギーで今からどれぐらい動き続けるかを知ることができます。
【充電方法】
説明書には「1秒間に2往復の早さで、約20cmくらいの距離を往復させるように振る」と書かれています。
振るとがギュイーン ギュイーンとローターが巻き上がる音がするのですが、このモデルはケースが薄いからなのか音が大きく感じます。装着している時も、腕を動かすとギュイーンと音がする事もあるので、その音が気になる人もいると思いました。
そして、約350回~400回(往復)させると1日分の充電量を確保できるそうなのですが、今回買った個体はどれだけ振っても1日ぐらいで動かなくなってしまうので、さすがに二次電池は弱っているようです。
【秒針の早送り量と稼働時間】
(インジケーターボタンを押して5秒ぶんの範囲を秒針が早送りしたら、約3時間~約1日稼働するということです)
- 5秒→約3時間~約1日
- 10秒→約1日~約2日
- 20秒→約2日~約3日
- 30秒→約3日以上
※この頃のキネティックはフル充電しても放置していると約7日間程度しか稼働しないようです。
もちろんベルトもイゼック氏によるデザインです。
シリコン製なので、非常に肌触りが良く、ベルト裏側の粒々形状により汗がたまりにくい構造で、肌にも貼り付きにくくて良いですね。また、尾錠もケース形状に合わせて曲線が基調のデザインになっています。
調子良さげなので、他のダイバーに付けようとしたのですが取り付け部分の形状が特殊だったので、他の腕時計には装着不可でした。
【まとめ】
シンプルなのに実に癖の強いデザインです。今後、このイゼック氏のアークチュラは復刻される事はあるのでしょうか?
絶対に無いでしょうね。
決して高くない値段で半年間売れなかった時計です。正直人気の無いシリーズだと思うので、イゼック氏デザインの腕時計の中では破格値だと思います。
デッドストックでも安く買えるこのシリーズをコレクションするのは面白いかもしれないです。敵も少ないですし。
しかも、調べていたらダイバータイプもあるようなので、見つけたらチビチビ集めていきたいと思います。
ただ、キネティックなのでオーバーホールなどしていなければ、間違いなく二次電池がダメになっていると思いますので、安くてもその点は注意した方が良いですね。基本二次電池交換はオーバーホールと合わせてセイコーでしか行っていないと思います。
今回入手した個体は暇な時に自分で二次電池交換にチャレンジしてみようと思います。
また、その時はブログでリポート致します。
※①【アークチュラとは?】
ダイヤル上のデザインポイントとなっているアーク(インジケーター部分の弧)と、オレンジ色にひときわ輝く、牛飼い座の一等星のラテン語名ACTURUS(アークトゥルス)の造語です。一等星アークトゥルスは春の夜空の中で最も明るいと言われている星です。【 SEIKOウオッチカタログ1998年より転載 】
※②ヨルグ・イゼック氏は1953年、東ベルリンに生まれ精密機械学を学び、ロンドンのアカデミー・オブ・アーツに入学、その後スイスの時計会社に勤務しデザイン分野で活躍した。その後、イゼック・スタイリング社を設立し、時計のデザインでジュネーブ・グランプリを受賞。
※③ジョルジェット・ジウジアーロ氏は1938年、イタリア生まれの工業デザイナーである。フィアット パンダ、ゴルフ、デロリアンなど歴史に残る名車を数多くデザインしている。